遺産分割
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遺産分割

  • 遺産分割とは
  • 相続人の調査
  • 遺産の確定
  • 遺産の分け方
  • 遺産分割協議とは
  • 遺産分割調停とは
  • 遺産分割審判とは
  • 遺産分割を弁護士に依頼するメリット

遺産分割とは

亡くなった人の財産を相続人が分ける手続のことをいいます。
この手続を行い、遺産分割協議書を作成し、金融機関や法務局などに提出することにより、故人の財産を相続人に移すことになります。

あかつき府中法律事務所

相続人の調査

(1) なぜ必要なのか
遺産分割協議書を作成しても、相続人が全員によるものでなければ、効力はありません。この調査をしてはじめて知る親族を知ったという場合(他の異性との子どもなど)もありますので、必ずこの調査をする必要があります。

 

(2) どのように調べるか
亡くなった人の出生から死亡までの全ての戸籍謄本・除籍謄本を集め、誰が相続人になるのかを調べます。

 

(3) 相続人の所在がわからない場合
① 戸籍謄本や・除籍謄本から戸籍の附票などを取り、相続人の所在を調査することになりますが、手紙などを送っても訊ね当たらずなどとなり、所在がわからないことがあります。
② 生死が7年以上明らかでない場合、死亡の原因になるべき危難が去ってから1年が経過した場合であれば、家庭裁判所に対して失踪宣告の手続をします(民法30条1項、2項)。失踪宣告を受けると、行方不明者は死亡したものと扱われますので、その人に子がいる場合は子が相続人になり(31条)、その人と遺産分割協議を行うことになります。
③ ②以外の場合
行方不明者の財産を管理する権限を持つ不在者財産管理人を選任してもらうように家庭裁判所に請求します(25条1項)。更に、不在者財産管理人に行方不明者の遺産分割協議を行えるように権限を与えてもらうよう家庭裁判所に対して審判を申立てます(28条前段)。家庭裁判所から許可を受ければ、不在者財産管理人と遺産分割協議を行うことができます。

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遺産の確定

(1) なぜ必要なのか
遺産分割をするにあたっては、遺産となる財産を法定相続分に応じて分けるのが基本になってきます。そこで、故人にいかなる遺産があるのかを明らかにして、それをどのように分ければ、法定相続分に沿って分けることになるのかを検討していくことになります。
また、遺産に漏れがあると、改めて、金融機関等において手続するにあたって、再度書類を作成する必要が出てきますので、遺産分割協議に先立って、遺産を確定する必要があります。

 

(2) 補足
故人の財産は当然に遺産分割の協議の対象になるわけではなく、その財産の性質に従って異なることになります。
① 預貯金
従来の判例は、遺産分割協議をしなくても当然に各相続人に法定相続分に応じて帰属するとして、遺産分割の対象にならないとされていました。もっとも、相続人全員の同意があれば遺産分割の対象とすることもできます。
遺産分割協議をしなくても当然に各相続人に法定相続分に応じて帰属するという考えに従い、遺産分割が整わない場合、預貯金については、各相続人が金融機関に対して法定相続分に応じて払戻を請求することが可能でした。
※ 平成28年3月23日に最高裁判所第1小法廷は預貯金を遺産分割の対象とするべきか大法廷に回付したので、従来の判例が変更され預貯金を遺産分割の対象とする可能性があります。
② 生命保険金
 相続人の1人を生命保険の受取人として指定されていた場合、指定された人は保険金を請求する権利を取得するので、生命保険金は遺産分割の対象にはなりません。
③ 借金
相続により当然に相続人に法定相続分が承継されるため、遺産分割の対象にはなりません。
 遺産分割協議において「債務については、●●が全て引き継ぐものとし、債権者から請求があった場合、●●が全てその責任において支払いを行い、他の相続人に求償しない」旨の合意を相続人間ですることはできます。

 

(3)被相続人の預金が引き出されている場合 
引き出した相続人に対して、引き出した金額を返還してもらう(不当利得返還請求)か、引き出した人が自分の利益のために使ったり隠した場合は、同額を支払うよう請求することになります(不法行為に基づく損害賠償請求)。

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遺産の	分け方

(1)現物分割
相続財産を各相続人に割り当てて取得させる遺産分割の方法のことをいいます。
例えば、不動産と預金が相続財産である場合、それぞれの価値が同価値であるときには、不動産はAが、預金はBが取得するというものです。

 

(2)代償分割
相続人のうち1人が法定相続分を超える財産を取得した場合に、他の相続人に対してその価値相当分のお金を支払う遺産分割方法のことをいいます。
ケースとして、①相続財産を相続人のうち1人が全て取得し、他の相続人に対して、法定相続分に応じた価格の金銭を支払うという場合、②相続財産を現物分割したところ、それぞれ分けた財産間に差額があるため、差額分を代償金として支払うという場合があります。

 

(3)換価分割
遺産分割の対象となる財産を換価(お金にかえる)し、それを相続人に分配する遺産分割の方法です。
たとえば、不動産などは評価の方法が複数あるため、売却した上で、実際に売れた金額を相続人間で分けるという方法が取られることがあります。

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遺産分割協議書とは

遺産分割協議書は、遺産分割協議で決めた内容を書面にしたものをいい、相続人全員の署名押印が必要になります。
遺産分割協議書に署名押印をする前に、その内容が自分に不利なものになっていないかよく確認をする必要があります。1度署名押印した場合、あとでその効力を覆すことは極めて困難になります。よく分からないという場合、その場の空気におされて慌てて署名押印することなく、1度持ち帰って検討したり、弁護士に相談するなどしたりして、落ち着いて対応することが必要です。

遺産分割調停とは

(1)遺産分割調停とは
遺産分割調停とは、相続人間で遺産分割協議がまとまらない場合に、家庭裁判所で調停委員を通じて話合いをする裁判所の手続の1つのことをいいます。話し合いをする点は遺産分割協議と変わりませんが、第三者である調停委員が間に入ったり、法的な問題点について裁判所の判断を仰いだりしたりしながら、話し合いの促進を図ります。

 

(2) 遺産分割調停の流れ
① 遺産分割調停申立て
② 遺産分割調停の準備
③ 遺産分割調停期日
④ 調停調書の作成または審判移行

 

(3)①遺産分割調停申立て
ア 当事者

申立てるのは相続人になります。相手方は対立している相続人だけでなはなく全ての相続人になります。

イ 必要書類(東京家庭裁判所の場合)
・申立書
・事情説明書
・連絡先等の届出書
・進行に関する照会回答書
・被相続人との関係を証する除籍謄本、改製原戸籍謄本
・相続人全員の戸籍謄本、戸籍附票(又は住民票)

ウ 申立先
イの書類を相手方の住所地を管轄している家庭裁判所もしくは、当事者が合意をして申立てる家庭裁判所を決めることができます。

 

(4)②遺産分割調停の準備
当事者が申立てを行うと、家庭裁判所は1回目の調停期日の日程を決め、当事者に連絡します。基本的に申立から第1回調停期日までは1ヶ月ほど期間を空けることが多く、この間に相手方は調停期日に向けて準備をします。

 

(5)③遺産分割調停期日
各当事者は、交互に調停委員に紛争の原因、遺産の内容、遺産分割の希望等を話し、遺産分割の話合いをしていきます。具体的には、相続人の範囲、遺産の範囲と評価額、具体的な相続分、遺産の分割方法を決めていきます。
調停の中では、話合いの内容を蒸し返さないようにするため合意ができた部分は調書に残すことがあります。

 

(6)④調停調書の作成または審判移行
調停で話合いがまとまると、遺産分割調停調書という書面を作成します。この遺産分割調停調書は、確定審判と同一の効力を有し、強制執行ができるようになります。
話合いがまとまらない場合は、調停不成立となり、自動的に審判手続に移行することになります。

遺産分割審判とは

(1) 遺産分割審判の開始
遺産分割審判は、当事者間で遺産分割協議や遺産分割調停が成立しない場合に家庭裁判所が判決のように遺産分割の方法を定めるものです。

 

(2) 遺産分割審判の流れ
① 審判移行又は遺産分割審判の申立て
② 第1回審判期日
③ 審判前の話合いによる解決
④ 遺産分割審判

 

(3)①審判移行又は遺産分割審判の申立て
遺産分割調停が不成立になった場合は、自動的に遺産分割審判に移行されます。また、調停をせずに遺産分割審判を直ちに申立てることもできます。もっとも、遺産分割審判を申立てても家庭裁判所が職権で遺産分割調停に付することが多くあります。これは、当事者に話合いで解決する機会を与えることを目的としています。

 

(4)②第1回審判期日
家庭裁判所から第1回審判期日が指定されます。当事者双方が同席し、裁判官の指揮の下で訴訟のようにそれぞれが自己の主張を行い、主張を基礎付ける資料を提出します。
審判期日は1回で終わることは稀で、何度か期日が開かれます。各期日は、約1ヶ月の間隔を空けることが多いです。

 

(5)③審判前の話合いによる解決
当事者で話合いが必要だと家庭裁判所が考えた場合、いつでも遺産分割調停に審理を移すことができます。これを付調停といいます。
なお、付調停により解決した場合は、調停調書が作成されて審判は終了します。

 

(6)④遺産分割審判
当事者の主張や資料の提出が十分になされたと家庭裁判所が判断した場合、遺産分割審判を下します。審判の告知の日の翌日から2週間で審判は確定します。確定した遺産分割に基づいて強制執行をすることもできます。
もっとも、審判の告知に対して不服がある場合は、審判の告知の日の翌日から2週間以内に、即時抗告を申立てることができます。即時抗告を行うと、高等裁判所で審理が行われます。

遺産分割を弁護士に依頼するメリット

以上みたとおり、弁護士に依頼しなくても遺産分割をすることはできます。しかし、弁護士に依頼すれば遺産分割の内容を不利なものにしないことができます。当事務所では、弁護士が表に出る交渉代理・調停代理業務だけではなく、助言等を行うサポート業務も行っております。
また、代理を依頼した場合、代理が交渉を行いますので、相続人間の感情的な衝突を避けることもできます。他士業は、交渉業務を行うことが出来ず、弁護士のみに許された権限です。
また、調停や審判になると書類の作成や手続も複雑になります。こういった手間を省くことは時間だけでなく精神的な負担を軽減することにつながります。
親族同士の問題に弁護士を入れたくないと考える方もいるとは思いますが、弁護士に依頼した方が返って不満を残さず解決する場合もありますので、一度ご相談ください。